㈲石川金型製作所-技術継承の効率化及び新業界への参入を目指す-

令和3年度に創設された綾瀬市中小企業強靭化推進補助金は、新たなビジネスモデルの構築や生産性の向上により、市内企業の活性化や高度化を図ることを目的とした設備導入等への投資を支援する制度です。
AコースとBコースの2つがあり、それぞれ上限額が1,000万円、300万円(補助率2/3)です。

同年、有限会社石川金型製作所(綾瀬市吉岡東3-4-5)が、Bコースを活用して3DCADシステム(TopSolid)を導入し、技術継承の効率化及び新業界への参入を目指す事業を行いましたので、活用の経緯や事業効果について、同社にお話を伺いました。

 

(写真 ㈲石川金型製作所 外観)

 

1 企業紹介
Q 会社の主な製品は?
A 自動車、建築関連、モーター関連、医療機器に係る鋳造用金型が主力製品です。また、BtoC向け製品の砂型鋳造用金型も製造しています。

(写真 顕微鏡製造用の金型)

 

(写真 同社の鋳造用金型で製作されたBtoC向け製品(風鈴))

 

Q 会社の主な設備は?
A ATC付NCフライス、汎用旋盤、ボール盤、3DCAD/CAMが主な設備です。

 

Q 会社の強みは?
A 家族経営ではあるが、鋳造用金型の製造に携わり50年の間で蓄積された高いノウハウと、設備投資により、納品後の修正が不要な高品質な金型を短納期で提供することが可能です。
金型を使うお客様の負担を限りなく減らす「優しい型」を製造することを理念として、顧客の理想に沿った金型を提供します。

 

2 補助金活用の背景
Q 今回の補助金の活用目的は?
A 金型設計における精度改善と技術継承の効率化が主な目的です。
当社既存の金型を設計する3DCADシステムでは、金型製作において重要である見切り(上型と下型を分けるパーティングライン)の見極めに時間を要し、また、他社から提供される図面データ等で使用されている、一般的な世界基準の拡張子に対応しておらず、システムの精度の低さが課題となっていました。
また、当社既存のシステムでは、修正した履歴が残らず、設計者の記憶に頼らざるを得ない状況であったため、当社の設計ノウハウをデータとして見える化できておりませんでした。
そこで、システムの精度改善とデータの一元管理ができる3DCADシステムを導入するために、市の補助金を活用しました。

 

3 導入した設備
Q 導入した設備は?
A コダマコーポレーション株式会社製の3DCADシステム(TopSolid)を導入し
ました。
【3DCADシステム(TopSolid)の特徴】
①3DCAD・2DCAD・金型用CADなどのシステムが統合され金型メーカーのニーズに合致している。
②製図・金型設計等のデータ管理が一元化できる。
③豊富なモデリング機能・複雑な設計に対する超高速演算処理機能の搭載。
④モデリングの際、一つのパーツを変更することにより、紐付けされた全てのデータが自動で一括変更される。
⑤CADシステムを導入していない取引先ともデータ共有が可能。

(写真 3DCADシステム(TopSolid))

 

4 事業効果
Q 導入したことによる効果は?
A 設計における作業時間の短縮と、受注及び生産体制の強化を図ることができました。
前述した課題の解決はもちろんのこと、当社既存のシステムでは、金型の設計変更をする際、各パーツ全ての修正作業が必要でしたが、今回導入したシステムでは修正したいパーツを修正すると連動して他のパーツも自動的に修正され、作業時間の短縮に繋がっております。さらに、修正した箇所が赤文字で残り、ノウハウの蓄積が可能となりました。
また、既存の3DCADシステムでは対応できない案件(複雑な金型設計が必要な製品作成依頼)にも対応できるようになったことで、受注及び生産体制の強化を見込むことができるようになりました。

(写真 設計担当者 諏訪薗 英樹 氏(社長ご子息))

 

5 今後の目標
Q 今後の目標などは?
A 今回導入したシステムを活用し、鋳造用金型の設計、製造の精度を上げ、品質向上による顧客満足度向上、新たな業界での販路開拓による受注拡大を目指していきたいと思います。
また、作業の効率化によりワークライフバランスの向上を目指していきます。

 

【綾瀬市中小企業強靭化推進補助金とは】

新たなビジネスモデルの構築や生産性向上に係る設備導入を目的とした市内企業の投資を支援する補助金です。

AコースとBコースの2つがあり、それぞれ上限額が1,000万円、300万円(補助率2/3)となっています。

※綾瀬市中小企業強靭化推進補助金の詳細は、綾瀬市ホームページ(こちらをクリック)をご確認ください。

各種認証制度などを取得し、社会的価値の向上を行うことで採択にあたっての加点要素となります。